2013年10月5日土曜日

FJ 朝日

ネットの偏った「慰安婦」憂慮 学者らが情報サイト開設

【桜井泉】旧日本軍の「慰安婦」問題を研究し、日本政府の責任を追及している学者らが「慰安婦」問題を知るためのウェブサイトを開設した。「慰安婦は存在しなかった」「強制はなかった」といった記述がネット上に広がる現状を憂慮し、「史実に基づき、正しく歴史を学ぶためにサイトをつくった」という。
サイト「ファイト・フォー・ジャスティス(FIGHT FOR JUSTICE)」(http://fightforjustice.info/)を立ち上げたのは、日本近現代史専攻の吉見義明・中央大学教授、林博史・関東学院大学教授、フリーライターの西野瑠美子さんら。
慰安婦問題に関するサイトとしては、1995年に日本政府の主導により発足し、2007年に活動を終えたアジア女性基金のサイト(http://www.awf.or.jp/)がある。基金は、国民の寄付による「償い金」と首相の「おわび」の手紙を元「慰安婦」におくるなどの事業を行ったが、吉見さんらは、犠牲者に対して日本政府による国家賠償をしなければならないと主張。女性基金の解決方法に反対し、そのサイトも内容が不十分だと訴えてきた。
今回、慰安婦サイトを開いた理由は、本を読まず、ネットに頼る若い人たちへの危機感だ。開設者の一人で、記者会見した東京外国語大学の金富子(キムプジャ)教授は「ネットで慰安婦を検索すると、捏造(ねつぞう)だとして慰安婦の存在を否定し、強制したものではない、などと歪曲(わいきょく)しているサイトばかりに行き着く。これでは、若者たちに正しい歴史は伝わらない。遅ればせながら明確な根拠、出典に基づき、この問題を正しく知るためのサイトを開設した」という。
サイトは、入門編、Q&A、解決編、証言などに分かれ、なぜ日本軍は慰安婦制度をつくったのか、女性たちはどのようにして集められたか、戦後どう生きたか、などをわかりやすく解説している。資料編には、慰安所の設置に関する軍の文書などを収録した。
英語や韓国語への翻訳はまだ一部で、今後は翻訳を増やし、海外への発信を強化する計画だ。

朝日 2013.8.14
http://www.asahi.com/national/update/0814/TKY201308140246.html?ref=reca