2013年10月5日土曜日

FJ 6 Q&A

6 朝鮮戦争とベトナム戦争でもあったのか?

橋下氏などがこういう理屈を持ち出して、日本軍だけではなかった、だから日本だけが批判されるのはおかしいという論拠にしようとしています。



朝鮮戦争のときに韓国軍は日本軍と同じような慰安所を設け、また韓国政府が米軍のために慰安所を提供したことがありました。これは韓国において、韓国軍の資料などを使った研究が出ています。これ自身、たいへん大きな問題で人権蹂躙行為です。



ただなぜ1950年代において韓国軍がこうした慰安婦制度を作ったのかを考えると、当時の韓国軍の幹部は旧日本軍や、日本軍の指揮下にあった旧満州国軍の軍人たちが多数いました。いわゆる対日協力者たちが韓国軍を握っていたのです。



その代表的な人物で、後に軍事クーデターをおこして政権を奪い、長期軍事独裁政権を指導した朴正熙を見ると、彼は満州国の軍官学校を出て、さらに日本の陸軍士官学校も卒業しています。そして戦時中は、満州国軍の将校です。満州国軍とは日本軍の指導下で、満州の抗日ゲリラの討伐をやっていた軍隊です。日本への抵抗派、独立派を弾圧していた人物であり、典型的な親日派です。朴正熙は、陸軍士官学校では、陸士第57期ですが、このときの陸軍士官学校校長は後に沖縄の第三二軍司令官になる牛島満です。第三二軍は組織的に大規模に沖縄各地に慰安所を設置したことは有名です。



つまり旧日本軍出身者が握っていた韓国軍は、日本軍のやり方を真似たのです。



朝鮮戦争の例を持ち出して、日本軍「慰安婦」制度を弁護するのは筋違いでしょう。むしろ日本軍の悪習(犯罪)が、韓国軍にも受け継がれてしまったことを反省しなければならないのではないでしょうか。



ベトナム戦争については、橋下氏はどの軍隊のことを言っているのか、はっきりしませんが、米軍のことのようです。南ベトナムに派遣された米軍の前線基地では事実上、売春婦を囲い込むようにした事例がわかっています。



これは米軍が侵略者だったことと関連があり、周囲を住民に囲まれて外出も自由にできない状況でのことです。中国などの前線に慰安所を設置した日本軍も侵略者であり、周囲の住民に取り囲まれていました。うかつに外出できない状況下では軍陣地のそば(あるいはその中の一角)に慰安所を設けるというのは日本軍もそうでした。



日本軍やナチスドイツ、さらにベトナム戦争の米軍の事例から言えることは、いずれも侵略者だったことです。侵略者から郷土を守る防衛のための戦いであれば、慰安所などなくても、郷土の人びとを守ろうと将兵たちの士気が高く、かつモラルも高い軍隊だったでしょう。何のために戦争をやっているのか、なぜ郷里を遠く離れて外国で戦争をやらなければならないのか、つまり戦争をおこなう理由がわからないからこそ、士気や軍紀が乱れてくるのです。



侵略者だったことの認識も反省もない橋下氏は、侵略者の例を出してきて、ごまかそうとしているにすぎません。