2013年10月5日土曜日

FJ 入門篇 4

4 日本軍は「慰安婦」制度をどのように運営した?

慰安所は戦地・占領地につくられましたが、軍直営の慰安所、軍専用の慰安所、民間の売春宿を軍が指定して一時使用する軍利用の慰安所の3種類がありました。このうち、軍直営と軍専用の慰安所についてみてみましょう。



日本軍が自らつくった

現地の日本軍部隊が慰安所をつくることを決定すると、建物は現地部隊が接収しました。部屋が多い建物が必要なので、学校やお寺や教会関係の施設が慰安所にされたこともあります。建物の内部の改装も現地部隊が行いました。



慰安所の規定は現地部隊が作っています。軍人・軍属専用なので、民間人は利用できません。おおむね、朝・昼は兵士が利用し、夕方は下士官、夜は将校が利用することとされ、将校と下士官・兵士とが慰安所で顔をあわせることがないようにしていました。将校専用の慰安所もありました。



利用料金も現地部隊が決めています。独立攻城重砲兵第二大隊が中国につくった慰安所では、下士官・兵が利用する場合は、中国人女性は1円、朝鮮人女性は1円50銭、日本人女性は2円で、将校はその倍額と決めています(資料参照)。各部隊に利用日を割り当てることも現地部隊が決めています。

慰安所は軍の施設

軍専用の慰安所は業者に運営させるのですが、現地部隊が監督・統制しています。業者や「慰安婦」は軍属の扱い(軍属待遇)でしたが、現地部隊は業者に「慰安婦」の取締りを命じ、毎日の営業報告書を提出させています。



軍医による定期的な性病検査も行われていました。「慰安婦」の食料・衣服・日用品などは現地部隊から提供されています。ただで提供される場合もあります。インドネシアのケンダリーにいた海軍部隊は、食料・衣服・寝具・食器類・水道料や使用人の給料などまで支給していました(資料参照)。また、軍はコンドームや性病予防薬を提供しています。



このように、日本軍は慰安所を軍の施設としてかかえこんでいました。「慰安婦」制度をつくり、運営した主役は日本軍だったのです。業者が経営する場合も、軍から監督・統制されていますので、軍の手足として使われたことになります。

軍人・軍属は軍と特別な契約関係にある人たちですので、今風にいえば公務員ということになるでしょう。国家が公務員専用の性的施設を作るというのは、極めて異常なことではないでしょうか。かりに文科省が小・中学校の先生のために専用の慰安所を作れば一大スキャンダルです。そういうことが平然と行われていたというところに、この問題の本質があるのです。



では、日本軍はどういう理由で慰安所を「合法化」したのでしょうか。陸軍についてみると、慰安所は軍の後方施設、兵站付属施設としてつくられました。陸軍には「野戦酒保」という、軍人・軍属のために飲食物とか日用品を提供する売店をつくることができるという規定がありましたが、それを拡大して「必要な慰安施設」をつくることができるようにしたのです。業者が勝手につくったものではないのです。